がんになって日日是好日となるか

肺がんステージ3を宣告され、治療を続けるアラフィフの日常

テルマエ・ロマエ

 

夫婦生活23年。

 

そりゃあ、いろんなことがありましたよ。

そんななかでですね、家の中で不可抗力といいますか、事故と言いますか。

まぁ、そんなことが起きることもしばしばで。

 

「真っ裸晒される問題」ってのがありまして。

洗面所兼脱衣所のドアを開けたら、真っ裸のパートナーがいるというアレです。

こっちとしては、いるって思わないわけですから。

まったくの無実なわけです。

出会い頭の事故なわけです。

発生の原因としては双方に落ち度はないわけです。

 

で、ガラッって開けたら、いままさに風呂から上がった妻がいるわけです。

で、こっからが、この問題の難しいところがありまして。

そりゃあ、色恋沙汰もあって結婚した仲ですから。

最初の頃は、ヒュー!ヒュー!いいよっ!よっ!と私もテンション上がったものですが。

 

夫婦生活23年。

もう空気です。見えてないです。何も感じないです。

 

「あ、ちょっとゴメン」

 

と、裸の妻をスルーして、後ろの洗面台から歯ブラシを取ろうとする私。

 

 

歯ブラシ > 妻の裸

 

 

こりゃあ、問題だろうと。

親しき仲にも礼儀アリだろうと。

さすがに嘘でも「おっ!ラッキー!!いゃあ、イイもん見れて私も幸せだよ。うふふ」

くらい言わないと、妻のプライドもあるだろうと。

事故になる原因が問題よりも、むしろ事故後の対応が問題ではないかと思った訳です。

 

いっちょ、エヘヘ〜って鼻の下を一生懸命に伸ばして「どうだい?これから一緒に酒でも?酒だけ。酒だけだから」とエロいオヤジを演出したほうが、妻の女性としてのプライドを傷つけないのではとも考える訳です。

 

こっちとしては、かなりの演技力と昔を思い出してテンションを上げなきゃいけない訳ですが、平和で楽しい家庭を築くためには必要なことして家長の私も重大な問題として対応しなけなければならない案件だと思ったのですが。

 

 

最近、妻側から変化がありまして。

 

 

ドアをガラっと開けると

 

「きゃっ!」と似合わない可愛い声を出して、姿を隠すようになりまして。

「ちょっと待って!」とドアをピシャリと閉じるようになりました。

 

どこに、そんな乙女チックな部分が残ってたのかと思うほどの対応でして。

思春期の娘でもあるまいし。

なんだ?浮気でもしてんのか?

それとも背中に般若のタトゥーでもいれて、いよいよ心身ともに鬼嫁になろうとしてんのか?

 

風呂から上がった妻に、どうしたの?と聞くと太った自分を見られたくないと。

 

 

え?

言うほど、あんま変わってないよ。

 

 

という心の声をゴクンと飲み込んで、「そうか、そうか」と頷きました。

なかなか、可愛いところもあるじゃん!と思いながら、風呂に入ろうと服を脱いでると

 

ガラっとドアが開いて、妻が

 

「ちょっと、どいて」

 

と真っ裸の私を邪魔そうにしながら、化粧水を取りにきました。

妻が去ってピシャん!と閉まったドア。

その間、5秒。

甘い言葉のやり取りは微塵もありません。

脱衣所に取り残された真っ裸のアラフィフオヤジがひとり。

時が止まっている鏡に映った私のポーズだけはローマ彫刻級。

 

 

いつか!いつか!

妻にもヒュー!ヒュー!いいよぉ!って言わせてやるからなぁ!!