息子が家を離れて早1ヶ月。
妻の息子ロスは相当なもので、買い物行っても、外食をしても
「今度また3人で来たい。きっと喜ぶよ」と常に息子ありき。
まさに子離れできてません。
まあ一人息子だし、溺愛っぷりは今に始まったことではないのです。
その割には、テストの成績が悪い、宿題やってない、弁当の食べ方が汚いと、烈火の如く鬼のような形相で怒り散らすので息子がマザコンになる可能性もなさそうです。
将来、息子の嫁姑問題に発展しなければいいけど。
女性自身の嫁姑戦争の漫画ネタになるのだけは勘弁です。
なにやらスマホで妻から息子へ毎日メッセージを送っており、彼の返答も段々短いフレーズの返答になっているようで妻も不満げ。
そんな折の5月。
時に5月は母の日というイベントがあり、母の日のプレゼントにとフラワーボックスなる箱にお花がいっぱい詰められたものが販売されると広告で発見。
これは!と息子に珍しく私からメッセージを送ります。
内容は今度の母の日に向けて私がフラワーボックスなるプレゼントを購入するので、君は母に向けていっちょ感謝のお手紙をしたため、その箱と手紙を渡す企画を考えたのだが、なんとも美しい企画だと思わないかと打って、送信。
息子からは「それは大変美しい」と返信。
決まった。
では手紙を書いて送りたまえと送信、後日息子から手紙が届きました。
もらった手紙を小綺麗な封筒に入れる際に、チラ見します。
前半の文章には、いつもありがとう。これからもよろしく的な定型文章。
まあ、まあそうなるだろう。ここは想定範囲。
後半になると、心配なのはわかりますが、その気持ちをグッとおさえてお過ごしくださいと書いてある。
ん?
本音だよね?ちょっとウザいんだよってことだよね?
あー、これはと思いつつ、まあいっかと封筒にいれて箱と一緒にしてスタンバイOK。
母の日当日。
仕事から帰ってきた妻に「息子からだ」とお花と手紙をプレゼントを渡します。
「ああ〜嬉しい」と言いつつ手紙を読むにつれ、顔が曇る。
「これって・・・」と顔を上げる妻。
気づかないふりをして夕食の準備をする私。
「これって・・・」2回繰り返す妻。
「あっ!隠し味の味の素が切れてるなあ。買ってこようかなあ」と味の素が隠し味の料理なんて聞いたことがないけど、大きな独り言を言う私。
「これって、要するに連絡すんなってことだよね?」と妻。
「あ、いやー、ほどほどにってことだよ。何事もほどほどだよ」と私。
「面倒くさいってこと?私、面倒なの?」と妻。
「いやー、距離感ってあるでしょ。ほらいま、ソーシャルディスタンスだし。適正な距離感?大事よー。すごい大事」と訳わかんないことを言い始める始末。
連絡がすれ違う2人の恋愛相談に乗る、ドラマの相談相手みたいな立ち位置の私。
「真意を確かめねば」と妻は、それから通常より2倍のメッセージを息子へ送るようになりました。
話はこれで終わらず、今年の母の日は息子の誕生日。
次の日、仕事から帰ると妻から「誕生日プレゼント、なんか買うって約束したの?」と聞かれました。
「いや、なんもやり取りしてないけど」と私。
聞くと息子から妻のスマホに突然「誕生日プレゼントありがとう。大事にする」というメッセージが届いたらしく。
身に覚えのない妻が驚いて堪らず電話したところ、貯金したお年玉と向こうで生活する生活費と、「頑張って」と渡されたおばあちゃんからのお祝い金と未払いだったお小遣いを何ヶ月分を相殺して、みたいなマフィアも真っ青のマネーロンダリング的な思考で金額を捻出し、かねてから欲しかったAirpodsProを、妻にも私にもOKをとらず、自分でこれはプレゼントであると生活費の特別予算枠を全会一致で可決し、購入したらしいのです。
恐るべし手紙とAirpodsのバーター取引。
恐るべし野党不在の予算案可決。
光の裏には闇がある、振り子の原則実戦版。
なかなか強引なやり口になったなあ、大人になったなぁと苦笑い。
いつもなら鬼のように怒る妻が、半笑いでこのエピソードを話してくれたということは、久しぶりに息子と話せた喜びが勝ったのだろうと私もほっとするのでありました。