がんになって日日是好日となるか

肺がんステージ3を宣告され、治療を続けるアラフィフの日常

猛獣注意。

 

 

 

早いモノで、もうすぐ4月ですね。

 

 

卒業。門出。出発。出会い。別れ。

そういえば昔はよくドラマで遠くに旅立つ女子を乗せたバスや車を、恋い焦がれていた男子が追いかけるシーンがありましたが、最近見かけないですね。

 

全力疾走で思いの丈を伝える人生の名シーンの数々。

春というのは、なかなかドラマティックな展開を予感させる季節です。

 

 

晩飯も終わり、妻がリアルタイムで観れなかった朝ドラを録画したものを観ています。

 

リアルタイムで朝ドラを観ていた私は、昨日思わず買ってしまったスーパーのレジ横にある本棚にあったオレンジページ3月号「捏ねない!手間なし!パン特集」をパラパラめくり、雑誌とテレビを行ったり来たりしながら一緒に視聴。

 

パンにはまっているとはいえ雑誌を買うまでは、どうかなぁと思いつつ、次回はどうしてもツナ&マヨネーズを作りたくてつい買ってしまったのでした。

 

Youtubeのように知りたい本題がいつ始まるのかわからないまま時間が経ってしまうより、やはり本はピンポイントで情報がわかるので本は本なりに役に立ちます。

 

 

朝ドラは桃太郎という高校生役の青木柚さんが親戚の子にそっくりで、感情移入もひとしおです。物語も終盤になり絶賛、怒涛の伏線回収中。

個人的には大月の回転焼きは、ちょっと生地が厚いかなという印象です。

私の好みは断然、薄皮。

しかも回転焼きはつぶあんより、こしあん。それに黒より白が好みです。

 

 

ドラマのなかで父親のジョーが語りかけます。

 

「ぼく、あと1日こっちにいることにす・・・・

 

あれ?あれ?声が小さくなってると読んでいた本から顔をあげると、隣で妻がリモコンのボリュームを急速ダウンさせています。

 

「どうしたの?」と問いかけると

 

 

「来た」と妻。

 

 

え?誰が?

ピンポンも鳴ってないし?え?お化け?怖いやつ?え?舞い降りてくる系?え?

 

するとどっからともなく、かすかに聞こえる音。

 

 

・・・ピー・・・も、も

 

 

ん?これはもしや?

 

 

・・・ピー・・いぃしーやーきぃ、いもっ。もっ。

 

 

 

ピー、いぃしーやーきいもーっ、いもっ!

 

 

なんと石焼き芋の移動販売です。

 

晩飯終わりの夜に聞こえる誘惑の音。

妻に聞こえていたのは、そろそろ甘いモノ食べたいでしょっていう誘惑する悪魔のささやき声だったとは、それを感知する妻のスイーツアンテナは今宵も5Gばりに感度良好です。

 

「どっから来てんだろ〜」と妻はリビングを走り回り、カーテン越しに窓の外をチェックし始めます。

 

パラパラと雑誌をめくりながら、無音の朝ドラをみる私の周りを小猿のようにバタバタ走り回り、至福の福音を奏でる主を探す妻。

 

 

「そんなに気になるなら、買ってくればいいじゃん」と私。

 

「えーだって、買いに出るの恥ずかしいもん」と、ガラにもなく乙女なことを言います。

 

 

そうこうしているうちに、福音の音は聞こえなくなってしまいました。

 

「ほら、行っちゃったよ」と私。

 

「いや、いま町内回っているから、帰る時にもう1度来るはず」と妻。

 

 

やきいもストーカー恐るべし。

狙った獲物は逃さないその執念は、まさにスイーツ女子のアナコンダ

 

 

しばらくして妻は冷静さを取り戻すと、朝ドラを再度見始めます。

で、しばらくすると、あの音が聞こえてきました。

 

 

・・・ピー・・いしやーきいもおおお、もっ!

 

 

「ほら!来たよ!行っちゃうよ!」と私。

 

「えー、でも恥ずかしいもん」と妻はテレビの音量はそのままで観続けています。

 

 

・・・ピー、いぃしぃやーきいもーっ、いもっ!

 

 

「じゃあ、私も一緒に行くから!ほら!早く!」と立ち上がる私。

 

「え!え!待って!行くから待って!」と妻も慌てて立ち上がります。

 

 

ヨレヨレのスエット姿でサンダルを履いた二人が家を飛び出して、焼き芋トラックを追っかけます。

 

待ってー!待ってー!

サンダルなのでうまく走れないのがもどかしい。ペンギンばりに歩幅が小さい。

 

夜道に待てーと両手を伸ばしてながらトラックを追いかける様はさながらトラックを襲う夫婦ゾンビ。

ハタから見れば、リアル田舎町のウォーキングデッド。

 

 

昭和では愛だの恋だのを追いかけていたのも、令和の時代は石焼き芋を追いかけてます。

 

 

優しそうなおじちゃんに「ほくほく」と「しっとり」の焼き芋を2本をオーダーし、サービスねと言って1本おまけしてくれた銀色のアルミに包まれた焼き芋が入ったアツアツな茶色の紙袋を受け取り、まさしくホクホク顔で家に戻りました。

 

 

3本のうち今宵は「しっとり」1本を二人でいただきます。

食感はねっとり感満載。クリームのような滑らかさ。焼き芋をスプーンでたべれるほどの柔らかさ。美味しい。品種はシルクスイートかなぁ?

 

妻が私と食べながら「ね?私のためと言いながら、本当は自分が焼き芋食べたくてしょうがなかったんでしょ?」と勝ち誇った顔で言うので

 

「そんな嬉しそうな顔しながら食べて、私のせいにするな」と忠告しました。

 

 

半分くらい食べて妻が「あとの半分は明日のお楽しみ」ときれいにホイルを包み直し満足げです。

それを見届けた私も安心して一足先に寝床につきました。

 

 

翌朝。

キッチンをみると焼き芋を包んでいたはずのホイルが開かれて、焼き芋の皮だけがお皿の上に残っていました。アナコンダ、恐るべし。