「もう、本当に世話が焼けるんだから〜☆」
ん?
「あれもこれも持ってかなきゃ。本当大変なんだから☆」
んん?
妻が言っている内容は愚痴のオンパレードなのに、なにやら大変嬉しそう。
上がる口角を必死におさえようとしてますが、人間そう簡単にコントロールはできず。
明らかにハイテンション。明らかにアゲアゲ。
理由は簡単、他県で一人暮らししている大学生の息子へ会いに行くからです。
そろそろ部屋が汚くなったころだし。
そろそろ食料がなくなってるころだし。
もらったお米を息子へ送るよりは、持っていった方が安くすむよね?
息子にってもらったお菓子を届けないと。
妻の口から、いくらでも出てくる息子へ会いに行く理由の数々。
わかった。わかったから。
ということで、息子へ会いに行くとなった途端、この通りです。
「ちゃんと食べてるのかな?栄養いっぱいつけないと」
手発当日の朝、何やら冷蔵庫をゴソゴソ。
「行く前に肉じゃが作って持っていかなきゃ」
あなたは息子の彼女か?通い妻か?
恐るべし母の愛。
妻の愛が私にもこれほど注がれていた時があったのだろうかと遠い目で、木枯らしが吹く外の風景を眺めます。
午前11時。車に夜逃げするんですか?というくらいに荷物を乗せて出発です。
車を運転して4時間。息子のアパートに到着。
栄養不足を心配した息子にあって思わず一言。
「太ったね」
「えへへ」
妻よ。息子は栄養が十分過ぎるようだよ。
「前が痩せすぎてたんだよ」
と、太ったけどまだ標準体重内でセーフだからを弁明する息子。
ただ高校時代までやってたサッカーの反動から、10キロは太ったらしい。
ほっぺたが、ポヨンポヨンしてるもんなぁ。保育園時代を思い出すよ。
息子のノートPCが調子が悪くなり、購入したいとのことで一緒に量販店へ。
その間、妻は掃除にとりかかります。
買い物の間、勉強のことやら、学校生活をひとしきりインタビュー。
どうやらホームシックなんて言葉は皆無の親離れライフを楽しんでいるようです。
良かった。
溺愛マザーとホームシック息子の最悪な状況は回避できそうです。
買い物が終わり、久しぶりにと焼き肉にレッツゴー。
肉とご飯しか頼まないという栄養バランス無視のオーダーでひたすら満足する栄養学も学んでいるはずの息子。
野菜は?と聞くとアパートにある野菜ジュースで補充するとの回答をいただきました。
その夜はビジネスホテルで私たちは宿泊して、翌日早々にじゃあねと退散。
帰る車の中で、ガスコンロがメッチャ汚かったけど、あれほど汚いということは自炊している証拠。ちゃんとやってるよ、妻が報告。
おお、なかなか冷静だね。
「ただご飯粒がメッチャ散らかってた。ありゃ、チャーハン頻度高いな」
さすがダテに刑事モノのドラマ観てないですね。素晴らしい観察力です。
今度帰ってきた時、炒飯のお手並み拝見といたしましょう。