今日は久しぶりの通院。
血液検査、レントゲン、先日のPET検査の結果発表の日です。
ジリジリと照りつける太陽をみながら、去年は今頃から秋まで入退院を繰り返してたので「うがぁー、暑っつー!」と思うほど、暑さを感じないまま夏が終わっていったなと、しみじみ。
とりあえず最初の採血。
例の血管探しゲームが始まり、採血チャレンジャー1人目は左腕に果敢に挑んだものの空振りの三振で、すぐさま選手交代をアピール。
次にバッターボックスに立ったのはベテランオーラ漂いまくりのナース様。
「右、見せてくださーい」
すかさず右腕を差し出し、ナース様はギロリと睨みながら2、3回腕をさすります。
なんかアフリカの霊能者みたい。
なんかもう儀式になってる。邪気払ってる感じする。
ふしぎ発見!で見たことあるような。
すべての疫病を祈りで治すシャーマン特集みたいなヤツに出てた気がする。
どうしよう、タバコの煙とかロウソクのロウとか腕にかけられたらとか思っていたら
「左、見せてくださーい」
すかさず左腕を差し出します。ナース様、同じように腕をさすります。
「はい!じゃあ、さしますね」
ええー!もういくんすか。
しかもあらゆるナースを打ちのめしてきた左でいくんすか!
おおー!なんか、かっこいいぞ。
もう職人オーラ半端ねー。
1回目で降板したナースが横で先輩ナース様を羨望の眼差しでキラキラみてる。
「アタシの刺しっぷり、ちゃんと見とくんだよ。こういうのは目で盗むんだよ」
もうナース様の背中が語り過ぎてる。
夏木マリが言いそうなセリフ集を語ってる。
ジブリ映画に出てくる元気な婆ちゃんが言いそうなセリフ集を語ってる。
ぷすっ!
数秒後、チューブに流れる血液。
おお!!スゲ〜!
さすがシャーマン。
さすが神の声を聞くナース様。
ルパンも次元もビックリの狙撃術。
風の谷の勇者はあなたでしたか。その者、白き衣をまといて金色の野に降り立つべし。
感動のあまり思わず「おお!さすがっすね」と私。
「左のここ。ここちょっと膨れるから、今度から場所伝えてあげればいいと思う」
イエッサー!!
ナース様の的確なアドバイスがまた素晴らしい。
ゴッドハンドと呼ばれる名医もいますが、シャーマンハンドと呼ばれるナース様もいることを忘れてはなりません。
神業ってあるんですねーと、思いつくままの賛辞の言葉を伝えると、
「わたしも失敗する時はありますから」
かっけー!
いま私はNHKのプロフェッショナルを観てるのか?
ナース様が照れ隠しでちょっと顔を作っていってるのが、また人間ぽくって、いいー!
隣のナースも神を見るような目で先輩ナース様を見つめます。
いやーいいモン見せてもらったと採血場をあとにし、次はレントゲン。
諸々、検査は終了し、診察待ちに。
名前が呼ばれ、いざ診察室に入るやいなや、ドクターから一言。
「痩せた?」
タモリか?
ここはミュージックステーションか?
え、そんな付き合い方でしたっけ?
え、そんな私のこと覚えてましたっけ?
「髪切った?」とか聞かないですよね?
素敵な先制パンチをくらい、多少よろめきながらも体勢を整えて
「先生が痩せろっていったので忠実に真面目に、取り組んでいます」と返します。
目指しましょう優等生。
かもしましょう協調性。
元祖昭和のミスターYesマンを甘く見ちゃいけません。
断りません仕事と飲み会。現代のゆとり世代にドロップキック。
「かっこいいね」
何がドクターのかっこいい琴線に触れたのかよくわかりませんが、とりあえずエヘヘって言って、診察が始まりました。
「血液検査の数値は異常なし。腫瘍マーカーも異常ありません」
「PET検査の結果も、特に異常は見当たりませんでした」
「特殊ながん遺伝子でステージ3だけども、今のところ大丈夫ですね。よかったですね」
そうか。異常なしか。
「なんか気になることありますか?」
「めまいが相変わらずありますね。先日、心臓の検査もあったので循環器科の先生にもお伝えはしてたのですが」とこのところ続いていた目眩について相談。
「んー薬かなー。なんだろうねー。まあ頭部MRIも1年前に撮ったきりだから、一応今回やりましょう」
ということで来週頭部MRI検査になりました。これで異常なければ晴れてシロ。
病院の入り口までダッシュして「推定無罪」のあの紙を揚げられます。
ふむ。
これから、あの怒涛の日常に戻っていくのか。
戻れるかな。