がんになって日日是好日となるか

肺がんステージ3を宣告され、治療を続けるアラフィフの日常

ダイナマイトはせつなさを殺せない

ニトロって知ってます?正式名称ニトログリセリン

昔、洋画でニトロを飲むシーンがありまして。
なんでかわかんないですが、ニトロって名前だけでもすごいインパクトだったんですよね。
映画の内容は忘れたんですが、ニトロを飲むというのだけは記憶の片隅に残りました。
そのニトロが、私の枕元にあるわけですよ。

なんかニトロ飲むって、筋力強くなりそう。
なんかニトロ飲むって、すごい薬が強力そう。
まあダイナマイトの原料にもなるってくらいですからね。
で、なんでニトロがいま家にあるのかって話なんですけど。

がんには関係ないのですが以前ブログにもちらっと記載したのですがね。 

kazuthink.hatenablog.com

(いやっほーい。初過去記事リンクですよー。使いこなしてるー!やったねー。わーい)

心臓がね、ドックンドックンした時があったのですよ。
もうね、胸が苦しいみたいになってね。
脈拍が通常の倍になって呼吸が苦しくなって胸が痛くなったのですよ。
あれはね、がんとはまた違った苦しさの即効性あるよね。
がんだと長期的な感じじゃないですか。病気への対応とか心構えとか。

もうね、1分毎に容態が悪化していくのがリアルタイムでわかる。

ちょっと調子悪い→あ、なんかおかしいぞ→寝てりゃ治るか→あれ、治らない→胸が押される感じで痛いぞ→寝てりゃ治るか→呼吸が苦しくなってきたぞ→もう夜で病院やってないし、こんなので病院来なくてもって思われるかも→寝てりゃ治るか→もう寝れないほど辛い。ヤバイ!→ヘルプミー!

結論:辛けりゃ早く病院へ。

「なんか胸が苦しいんだよねー」と2階の寝室からリビングに下りると、ちょうど晩飯の支度をしていた妻と息子が、ただならぬ気配を感じて、がんで通っている病院に電話。
今から緊急で行っていいかの確認と了解をゲット。

妻が運転する車の助手席に乗って病院到着まで15分。
症状はどんどん悪化して、呼吸は苦しい、胸も苦しい、ハアハアゼーゼー、椅子を横に倒し目を開けてるんだけど何も見えてこない。

病院に到着して、処置室前の廊下には何組かのご家族がベンチに座り、処置室の様子を伺っている最中、隣で車椅子に乗せてもらってハアハア、ゼーゼーいっている一人の男と妻。
全員の視線が集まってるのはわかる。わかるけど、もう自分のことで精一杯。
余裕なんて到底出せない。

妻が「本人苦しがってるので、みてもらってもいいですかー」と言ってくれて、中へ。

初めはストレッチャーに乗せられて、医療ドラマでよく見る「1、2、3」でベッドにうつされる体験を獲得。

1、2で、こっちも緊張。
体をまっすぐに。迷惑かけないように。腹筋に力をいれて、一本の棒のように。
いまこそみせろ、筋トレ成果。

「3!」
はいっ!もうピーンとなってたから。きれいな一文字。ブレない体幹
無事ベッドに移動。看護婦さんたち数名がワラワラと処置をしてくれる。

「はい、大丈夫ですよー」
「はい、脱ぎましょーねー」
「はい、チクッとしますよー」
「はい、血圧測りまーす」

もう仕事デキる方々ばかりでしょ。あのテキパキさ。感服します。

ハアハア呼吸が早いとあまり良くないみたいで、なるべく呼吸をゆっくりすることを再三言われる。なんとかしたいんだけど、苦しくて早くなってしまう。
自分でもわかる。

ああ、こりゃあヤベェな。

その時、口開けて舌を上に上げてと言われてお口にシュッとやられたのがニトロ。

そのほかにも色々処置をいただきながら、ようやく呼吸も血圧も安定してきて、とりあえず家に帰る時に持たせられたが、この時のニトロ。
また苦しくなったら使ってくださいと渡されました。

後日出された病名は狭心症
心臓の血管が塞がる心筋梗塞まででもなく、緊急に手術が必要でもないので経過観察となりました。がんや副作用との関連性はないだろうとの診断です。
ただこう大きな病気が立て続けに起きるのは偶然で片付けられるのか、ちょっと疑問。

そういえば、かの吉川晃司さんも狭心症だったそうで、ご回復おめでとうございます。
若かりし頃はカラオケでお世話になりました。
「せつなさを殺せない」歌いまくりました。
ご無事で何より。これからもお健やかに。

 

あれからこのニトロは使ってないですが発症して数日はこのまま寝たら明日起きてないんじゃと思う日々が続いたこともありました。

あーこのままいっちゃったら、Applemusicの契約どうしよう?
部屋整理してなかったなー、やっときゃ良かったなー
と思いつつ就寝。翌朝何事もなく起きることの繰り返し。

なかなか味わえないスリリングな体験。私の非日常は続きます。
最近、体のガタつき具合が半端ない。自分で思ってたより丈夫じゃなかったのかな。

今回は寝れば治るかもと思って、病院行くまでの症状なのか判断が遅れたのは事実。
でもナースさんに言われたのは

「こんな時は救急車、使っていいから」

だそうです。同じ症状になったら遠慮せずに救急車をお願いしましょー。