がんになって日日是好日となるか

肺がんステージ3を宣告され、治療を続けるアラフィフの日常

合言葉はラリホー&Rock you!

入院1日目

とりあえず荷物を整理して、病院の入院着をお借りして着替え完了です。TVでみたことある薄緑色の衣装です。
いいですね、だんだんそれらしくなってきました。
同行してきた妻もコロナの関係であまり滞在時間も割くことはできず、落ち着いた時点で
「じゃあ、またね」と退室していきました。

 

今まで休みもあまりなく、本当に一人になったのは久しぶりだったのでなんだか時間を持て余し気味になってしまい、いらなく部屋を歩き回ったり、スマホやTVで時間を潰していましたが、

 

「準備、終わりましたぁ〜?」

 

看護婦さんのこの第一声と共にとっかえひっかえ検査や問診や手術の段取りなどの説明をしていただきました。

 

なんかもう地方議員の陳情風景みたいです。

 

「この案件どうしますか?」

 

「OK、OKやっちゃってぇ。はい、次〜」

 

みたいにどんどん捌いていかないと、後ろつっかえてます状態に。

ただ「じゃあ、明日5時に採血しますね〜」と笑顔で言われた日には

 

「え、5時?」

 

時間聞き間違えました?

いつもなら爆睡してる時間ですけど。

そんな時間にブスっといくんですか。寝起きのチュウばりに刺激的。

 

病院こえー、おちおち寝てらんねー

 

と思ったのですが、9時消灯で寝るしかない生活では5時採血は当たり前。
もうウエルカムです。何なら両手広げて「おはよう〜待ってたよ〜」と言えるぐらい生活リズムは健康的になっていきます。

 

肺の手術なので剃毛するよう指示を受けて、恥ずかしいので自分がやりますと立候補。看護師さんから借りた幾多の猛者どもの剛毛をなきものにしてきた歴史ある電気シェーバーを貸していただき、試しに脇毛部分をアタック開始。

 

ブチブチブチ、痛たたた。

 

うぉーこいつぁ手強いって感じで、ヒゲならともかく脇毛なんて、ちょっとしたらベリーショートの髪の毛くらいの長さなのにシェーバーで挑むなんざぁ、そらぁ痛いに決まってる。
切れたところは、うっすら血が滲んでるし、キレイに切れてないし、お毛けもなんかまだらになっていて環境破壊された針葉樹林みたいになってるし。

こいつぁ、いつもの相棒を導入だと、持ってきた自前のT字剃刀とシェービングクリームに持ち替えて、ことなきを得ました。

 

手術日当日

T字帯と呼ばれるふんどしのようなものに履き替えて、いざ手術に挑みます。

「じゃあ、確認しますね〜」といって、美人な看護婦さんに入院着をパラっとめくられて、自分のあられもないふんどし姿を見られた時は新手の恥辱プレイかというほど、何とも言い知れぬ感情を抱きました。もう、どうにでもしてください。

 

手術室前には妻もいて「いってらっしゃい」とエールをいただきながら、いざ手術室へ。

 

なかには若い看護婦さん一人が手術準備をしていて、

「はい、じゃあ寝てくださーい」とベッドに誘導されました。

もうこれが手術室でなかったら夢の国のようです。

 

目の前にはドラマでよく見る、ライトがいっぱいついてあるレンコンのような手術灯があり、なぜかBGMにクイーンが。

 

え、クイーンなの?

 

肺がん手術って、そんなノリでいくの?

 

ドンドンパン♪ドンドンパン♪ウィールー、ウィールー、ロッキュウッ!

 

って、このタイミングでメスいれんの?

 

そもそも音楽聞きながら、ちょっとオサレなカフェ的な雰囲気で手術ってやるの?

 

色んな疑問が頭を駆け巡っている間も看護婦さんは、にこやかに手術準備を整え、気がつけば目の前に一人の男性医師が。

 

「じゃあ、麻酔かけていきますねー」

 

はい。いってらっしゃい。今回も瞬落ちです。

 

「はい、終わりましたよー」

 

はい。ただいま。…って、痛ってえええ。

 

あまりの痛さに目が開けられない。クイーン恐るべし!ロッキュウッ恐るべし!

 

ガラガラ運ばれている振動と「大丈夫?大丈夫?」と妻の声が聞こえてはいるけど、痛さで目が開けてられない。映画で見た、手術後おだやかに寝ていた顔から、愛する妻をみてニッコリみたいなスチュエーションなんて到底無理。まさかのノーリアクションでICU(集中治療室)へ。

 

痛さと苦しさで目が開けられないながらもピー、ピーという機械音が聞こえて口につけているマスクがなんか息苦しい。もう痛いんだか、暑いんだか、苦しいんだか、勘違いなのか、もう何が何だかわかんない。

 

「痛かったら教えてくださいねー。痛み止め替えるんでー」と看護師さんが声がけをしてくれる。

 

「ぐるひいです。(苦しいです)いだいでぶぅ(痛いです)」

 

「じゃあ変えてみましょー」

 

…正直、あんま変化わかんない。痛み弱まったのかな?気のせいなのかな?でも苦しいな。痛いな。早く寝たいな。そうだ!寝れば痛みもわかんなくなるし。早く眠れ、俺。
寝ろ!寝ろ!ラリホー

 

とは言いつつも、この痛さが未来永劫続くような錯覚に陥りながら、寝れねぇ、つーかこんな痛くて寝れるもんも寝れねーと心の叫びをひたすらしていたので、さすがになかなか寝付けれませんでしたが、気付いたら朝になっていました。若干痛みは、少し和らいでいたように思います。ICUは1日だけ、次の日は病室に移動となりました。