がんになって日日是好日となるか

肺がんステージ3を宣告され、治療を続けるアラフィフの日常

腫瘍らしきもの。

投稿3回目にしてやっと「がん」についてのお話がはじまります。メインのお話なのにもったいぶってすいません。ただ、もったいぶるほどでもない内容なので、気軽にお読みくださいね。

 

「また悪夢の月曜日が来てしまう」毎週毎週、私は恐れおののいていました。

 

私の仕事は基本土・日休日のデスクワークで毎週月曜日、会社では社長以下役員が鬼の形相で勢揃いの重大会議が開催されます。

会議は社内でも非常に重要な会議の位置付けになっているのですが、何かの間違いからか私も一定の役職をもらっちゃってまして、これまた何かの間違いなのか能力不相応に、私もその会議のメンバーになっているのです。

この会議では諸先輩方々からいつも叱咤激励をいただいていたので、前の週からすでに憂鬱で憂鬱で、いつも日本に隕石が落ちて会議が中止にならないだろうか、誰かが死んで慶弔休暇が使えないかと47歳にもなる人間が真剣に思っていました。

 

 2020年5月 金曜日

この日も会議で秒で抹殺されるであろう会議資料をまとめ、華やかな金曜日を死んでも死にきれないゾンビの如く重い足取りで帰路についたのですが、ホントに頭が重くなってきて、とうとうゾンビになったかもと思うほどみるみるうちに具合が悪くなっていきました。

 

咳は止まらず熱は金曜日夜半から上がり始め、37.5度からスタートし土曜日の夜には38度台に突入、日曜日には39度も射程距離範囲に届くまでになりました。

私の住む場所ではまだコロナ感染者も一人か二人のレベルでありましたが会社のコロナ対応ルールで37.5度以上の熱は出社禁止というルールができたことから熱が下がらなかった場合、月曜の会議に出なくてもいいのか、これはラッキーなのか、はたまた自分も管理できねーのかと諸先輩方の目線が怖すぎなんですけどー、という思いだけが頭をグルグル回っていたのでした。今考えるとよっぽど会社に行きたくなかった単なる体の拒否反応だったかもしれません。

月曜日の朝、熱は38度5分と下がる気配を見せず、会社ルールをタテに

 

「いや〜みなさんに感染すると今時期、やばいっすから」

 

を連呼し、会社は欠勤の連絡をし、承諾をいただきました。

いつもは市販の風邪薬とドリンク剤を一気飲みして汗だく睡眠で風邪を治すのですが、重要な会議を欠席してさすがにそれはヤバイと近くのそこそこ大きい病院に「単なる風邪でコロナではないと思うのですが」と診察を受けたのでした。

 

病院ではコロナで肺炎になる症例もあるので、「CTを撮りましょう」ということになりました。

 

レントゲンじゃないんだ。へー。大袈裟だねぇ、たかが風邪で。

 

と無邪気に思いながら撮影、数分後お医者さまから

「コロナどうのこうのよりも、こっちが気になるね」とディスプレイに映し出されたCTで撮った私の肺の一部を指さしたのでした。

そこには左肺の真っ暗な部分に丸い白いものが写ってました。素人目の見た目にもはっきり写っていてこれが異物ならヤバイね、くらいな異物感、存在感がありました。

「この白いのがね、腫瘍の疑いがあるね。大きさは2、3センチくらいかな。単なる炎症の可能性もあるので、詳しく検査が必要だね。紹介状書くから、風邪の症状が落ち着いたらできるだけすぐに行くように」 お医者さまはそう言って、紹介状と風邪薬の手配を看護婦に指示をしました。 私はというと、

 

でた。医療系ドラマで見たヤツじゃん。

 

と内心思いながらも、とても落ち着いてました。腫瘍といわれてもピンとこなかったからかもしれません。腫瘍も良性のやつとか勘違いとか色々ありますし、色々お騒がせしましたが治りましたーみたいなことも数え切れないほど経験してますし、この時はあまり大きく受け止めていなかったと思います。それどころか腫瘍の疑いがあると告白された非日常の出来事に少し興奮して妄想していたぐらいです。

 

まだ将来のある若き企業戦士が腫瘍の疑いがあると言われ、病院の待合室で青空が広がる窓の景色を遠い目で見つめる自分。今までの人生と愛する者たちへ想いをはせ「ありがとう。俺はもう旅立つ」

ヤベーやつです、走馬灯な私。自分にほろ酔い、今日も絶好調です。

 

風邪の症状が落ち着くと予想した1週間後の日に別の総合病院に予約をいれてもらい、2日後には熱も下がったことから、私は紹介状をもって受診することになるのでした。