がんになって日日是好日となるか

肺がんステージ3を宣告され、治療を続けるアラフィフの日常

あのエイリアンは伏線だったのか?

4月は新年度。

カレンダーをパラパラ見ながら、ハタと気付きました。

 

そういえば健康診断、やってないね。

 

そう。

昨年のほぼ半年は闘病まつりだったので、我が社の健康診断時期にちょうど入院、抗がん剤の真っ最中で、健診しないまま年を明けたのでした。

 

まあ、健康診断よりも体、診てもらったしね。

 

まあ、体切って、中まで診てもらったしね。

 

まあ、具合悪いとこありますかって聞かれれば、「はい、がんです」って言えたしね。

 

 

なので、あんまり気にしてなかったのですが、ふと気づいたのです。

 

 

大腸、今頃どうなってんのかなーって。

 

 

7、8年くらい前ですが、健康診断でまさかのダークホース的になんと血便が診断されるということがあり、自分でも「まさか!」の衝撃でした。

 

ぐぇ!血便!

 

ぐぇ!よりによって下の異常!

 

痔?お尻強く拭きすぎた?辛いもの食べすぎた?変なもの腹に飼ってるの?

 

えー、若いナースの目の前で四つん這いになって、お尻をぷりんと上げて、ピーの穴をさらすのは死んでも嫌だー!

 

とめっきり凹みながら、要精密検査という名の下、大腸内視鏡検査に挑むことになるのでした。

 

大腸内視鏡検査って、どうやんだろーと調べてみると

 

おしりの穴に、内視鏡カメラをぷすっと刺しますよっ!って書いてある。

 

 

あちゃー、これナースに晒しちゃう。

 

私のあられもない姿、晒しちゃう。

 

スフィンクスのように無表情の四つん這い。でも余分に1本ケツに刺さってる。

 

シュールすぎる、その光景。

さながら現代美術の先進アーティストの作品のよう。

 

どうしようと悶々としていたところ、健康診断を受けた病院では内視鏡はやっておらず、別の病院を紹介してくれました。

 

その紹介してくれた病院ってのが、私が仕事でお世話になっているお客様でもある病院。

 

もうナースもドクターも私のことご存知。

 

「いよぉ!どーしたん今日?」

と割腹のいい肝っ玉母ちゃんのようなナースが多いこの病院は、みなさん気の良い人ばかりで、飲み会があれば「なんで来なかったのよー!」と誘われてもいないのに怒られるほどノリのいい人ばかり。

 

当然、ドクターも「念入りに調べてやるぞぉ、イヒヒ」とカリブの海賊ばりに、何かを企んでいる笑みを浮かべます。

 

検査準備として前の日から食事制限や下剤を服用し、当日はみなさんがニヤニヤしながら私をお出迎えをしてくれ、病室まで案内してくれました。

 

 

そして、2リッターくらいの下剤のボトルとおちょこのようなカップをひとつテーブルの上に置いて、

 

「とりあえず着替えて、この下剤を90分くらいで飲んでね」とのこと。

 

下剤は薄いポカリのような味で、おっきいボトルにちっちゃいカップで、ちびりちびりと手酌下剤。

 

演歌でも流れていれば、まさしく場末の酒場で飲んでる、一人下剤。

 

 

透明な水便になるまで、頑張ってー!と言われ、飲む、出す、飲む、出すを繰り返し。

 

 

ボトルが空になった頃を見計らって「んー、まあやってみっかー」と検査室へご案内。

 

検査室のベッドの周りには、一番の仲の良いお姉さま方が3、4人勢揃い。

 

 

内視鏡初めて?いやーん、バージン奪っちゃう〜。アハハハ」

 

 

検査室がドッカンドッカン、ウケている。

 

もはや検査室というよりは、バラエティ番組の観覧席。

豪快な笑い声に包まれて、雰囲気はすでに罰ゲーム前の芸人イジリのよう。

 

 

とりあえず私もこうなりゃと、冗談をかましアハハと笑いながら、半泣きでケツを出します。

 

 

そんなパリピ主催のイベント会場にドクターが登場し「おし、じゃあ始めよっか」と手袋をつけ注射をはじめます。

 

 

「まあ、そんな緊張しないで。そっとするから」

 

 

お願い、痛くしないで。

初めてなの。

大人の階段なの。

ドキドキするー!

 

ああ、まさかこんな思いを私が抱くとは。と考えてるうちに、挿すところにゼリーを塗られ、ぷすっといきます。

 

ニョロニョロって入っていく感覚があります。

 

 

うげー!なんかエイリアンがいる!腹の中に、うごめいている!

 

 

いろんな曲がり角や湾曲したカーブを巧みに曲げてカメラは入っていきます。

 

まさにリアル電流ビリビリ棒。

プレイヤーになるかもとは思っても、まさか自分が装置側になるとは思ってもみなかった。

 

全身麻酔でもないので、滅茶苦茶うごめいてる感を感じます。

 

カメラは一番奥までいれて、徐々に抜きながら検査していくそうで最初に一番奥までモゾモゾやられるのです。

 

 

うぉー!映画のエイリアンのように腹からひょっこりってならないよね?

 

私のなかに、絵本のはらぺこあおむしが動いてるー!(実際のカメラは細いのですが感覚的に)

 

 

「ほら見て見て!これが腸の中よー!」とナースさんがご丁寧にモニターで説明。

 

画面には腸のなかに黄色い糸クズのような、黄色い水のようなものが。

 

「この黄色いの!これこれ!これね!う○こ!アハハ」

 

 

ちょっと検査するの早かったかなー!と言いつつも、みんな私のう○こで大笑い。

 

なんか救われているような、泣きたいような、まあアットホームな雰囲気なのは間違い無い。

 

途中ドクターが

 

 

「あれー?ポリープあるねぇ。切っとこう。悪性かどうか検査に回すから」

 

 

と言って内視鏡カメラでポリープを切除、検査結果は後日となりました。

 

検査は15分くらいだと思います。

最後カメラが出る時に、本物のう○こ出たらどうしようと思いつつも無事に終了。

 

後日の検査結果は良性でしたが、私の父も大腸癌だったので定期的な検査が必要だねという診断を受けていたのでした。

 

あれから大腸カメラはやっていませんが、今はPET検査とかやるから、大腸がんとかあっても、それでもわかるのかなー?と思いつつ、でも、お尻の穴はもう勘弁だなーと願うのでした。

 

思い返すと今の闘病に至る色々伏線はあったんだねー。

今やっと伏線回収の時期になっているのかもしれん。

なかなか私のドラマ、よく出来てるじゃんねと神様が書いた脚本に感服するのでありました。