がんになって日日是好日となるか

肺がんステージ3を宣告され、治療を続けるアラフィフの日常

がんの効能

抗がん剤治療は2回目、3回目、4回目と何事もなく続き、最後のお医者さまの問診も特に異常なしということになりました。

これからは経過観察。3ヶ月ごとに1回検診を受けて経過を見るということになります。
レントゲンと採血の結果を見ながら「異常なし」というお墨つきをもらったわけですが、私はここからが本番。

こんなんで私のドラマティック人生の大サビ部分を終わらす気はありません。
目指すは「転移」。
今は治療が終わった直後ですから、何もないのは当たり前。私は年齢的には若いほうですから進行も早いはず。であれば、1年くらいを目安に転移になるところを目指します。


なぜ私は転移を望んでいるのでしょう。

 

転移すれば仕事を辞めて、毎日寝て暮らす日々が来るからでしょうか。

病気になれば間違いなく家族は辛い思いをするでしょう。

母親や妻はショックを受けるでしょう。

息子はもう大学生なので現実を受け止めることはできますが将来に影響が出るかもしれません。

お金の問題は保険や妻も働いていますし、今までの蓄えで贅沢しなければ大学卒業までは出せるはずですが、治療費もどうなるかわからない。

働きたくないというほど、働くことがそんなに嫌でもないのですが、自分がわからない部分で拒否反応を起こしてるのかもしれません。働く場所と仕事にもよりますが。


結局、これまで生きてきた色々な縛りや責任や制約から解放されたいだけなのかもしれません。


死ぬということに不思議なくらい抵抗はないです。
「怖い」とか「死にたくない」という感情はないです。
「長生きしたい」とかの感情もあまりない。
ただ「痛い」とか「苦しい」は嫌ですけど。

人生にリセットボタンはないと言いますが、どこかでリセットしたい自分がいるのかもしれません。ステージ4でも頑張っている方々が大勢いらっしゃるなかで、ステージ3のヤツが何をほざいてんだ、ってな感じですが。

がんという病気になって、変わったことがありました。

あんまり物欲がなくなりました。
贅沢が羨ましくなくなりました。

世の中はインスタやSNSでキラキラ生活の写真にあふれ、いかにお金を稼げるのか、いかにフォロワーを増やせるのか、いかに幸福に過ごせるのかという記事や動画が連日投稿されてますが、それも羨ましいとは思わなくなりました。

美味しいものは食べたいなとは思いますが、どこかのモデルさんが美味しそうに食べてる高級チョコレートケーキと私が今食べようとしている近くのお餅屋さんで買った1個百円のつきたて餅の草団子を私が食べ比べしても美味しいと感じる感動レベルは同じで、もはや団子で十分満足なのです。

自分は自分の価値観で考えることが多くなりました。
SNSとかでの他人との比較に明け暮れる日々はなくなりました。
妻や周りの人との価値観のズレが大きくなる危険性はありますが。

物も暮らせる分があればいいという考え方になりました。
便利なものや今よりも性能の良いものに欲がなくなりました。今実際に暮らして問題ないのだから、特にいらないよねという考え方です。

寿命が普通の人と同じくらいになる可能性は少ないのに今、高いもの買ってもねぇというのもありますし。

がんにならなくても、そんなシンプルライフな人はたくさんいらっしゃるとは思いますが、私はやっとそこにたどり着きましたという事です。
ただ、この考え方や過ごし方も正解か不正解かわからないです。

「がん」になったことは私にとってプラスだったのかもしれません。