抗がん剤治療が終わって、普通に仕事をして早数ヶ月。
商談や別な場所で働く同僚とも会う機会が多くなり、
「あ、どもども。いやーご無沙汰してましたー」
とお互い定例の挨拶をしながら、気づきます。
あなたの目線、私の髪の毛ですよね?
「お元気ですかあ?」
と言いつつ、目線私の頭。
え?そんなハゲてる?私。
あえて突っ込まないけど、確実に目と目があってない。
目と目で通じ合ってない。
かすかに、ん、ハゲてる?
MUGO・ん・ハゲてる?
確かに抗がん剤治療中はパラパラ、抜け毛があったことは事実。
白髪も増え、よく言えばリチャードギア。
悪く言えば、雪山で遭難者を襲う鬼婆くらいの白髪になったことも認める。
でも、それほど抜けてないよね?
最近、抜け毛減ってきたよねってくらいの実感すらある。髪の回復傾向感じてた。
逆に、髪の回復力で以前よりも髪の量増えたんじゃねくらい感じてた。
じゃあ、実際どうなの?と。
こりゃあ、検証だと。
うちの洗面台で鏡、三面鏡にしてチェックしてみたよね。
前方よし。たしかに生え際は後退してるが、あんま変わんない。
横方向よし。ここもあんま変わんない。
後方・・・後方・・・
ってーか、頭頂部。てっぺん。
地球温暖化で氷溶けたみたくなってる。
地表見えてる。
あーこれかなと。
よく見れば、確かに全体のボリュームも少なくなっていると感じる。
まあ、でもこれぐらいしょうがねーよと。
俺は個性派を目指すんだと。演技派だと。
アイドルじゃねぇんだよと。
ある日、開き直って美容室のお兄さんに言ってみたよね。
帰ってきた言葉は、
「前からっすよね」
私の周りはみんないい人なのです。優しいのです。優しすぎるのです。
私の劣化を本人に悟られずに、みんな接してくれていたのです。
結論:減ってはきてますが、ただの経年劣化です。
おうおうじゃあ、日本のジャックニコルソンを目指してやるよ。
目標はジャンレノだ、ブルースウィルスだ。モテ期到来だ。
それでもダメならウィッグだ。
科学の進歩を召喚だ。2021年なめんじゃねえぞ。
可能性は腐る程あるんだ。
こんな壁、楽々に越えてやる。
つーか別に気にしてねーし。
こういう事はポジティブに考えるめんどくさいネガティブ人間。
「でも、結局人間中身っすからね」とお兄さんに悟られ
「・・・そうですね。精進します」
中身の美しさは外見を凌駕する。