がんになって日日是好日となるか

肺がんステージ3を宣告され、治療を続けるアラフィフの日常

人間だもの。

ブヒッ。
抗がん剤治療中はガスが溜まりやすいんでしょうか。おならがよく出ます。
チョット気を許すとブヒッ。
よっこらせっと立ったついでにブヒッ。
あーどっこいしょっと座ったついでにブヒッ。

もう我が家は大気汚染です。
治療前でもおならは出やすい方だったのですが、増してパワーアップした感がすごい。
散歩で歩いて風景を見ながら気をゆるそうモノならブヒッ。
慌てて後ろを見て人がいないか確認する始末です。
後ろに人がいてブヒッとやった日には、わざとらしい咳払いと地面に擦り付ける歩き方で

「いや〜今の音は、おならじゃないっすよ。似てるでしょ?勘違いしましたよね?びっくりさせてごめんなさい、でもほら、おならじゃないから。安心して後ろを歩いてください」ゴホッ、ゴホッ(咳払い)ザッシュ、ザッシュ(靴をする音)

とおならじゃないバリアーを発動しなければならない始末。

 

原因としてお尻の筋肉低下、運動不足や加齢が要因ということもあるのでしょうが、なかなか一朝一夕には防止策は編みだせず、病室に入れ替わり人が出入りする抗がん剤治療の入院中でもブヒッとやれるタイミングを見つけるのも一苦労です。個室で安心してブヒッとやった途端、年頃の看護婦さんがやってきた日には

 

「いや〜臭ってないっすか?いま、やったんすよ。結構デカめの。もう溜まっちゃって、溜まっちゃって。あ、でも本体は出てないんで。予告編でおさえてるんで。大丈夫です」

 

みたいにフォローしなければならない状況は避けなければならないので、看護婦さんの巡回パターンを分析し、ブヒッ安心タイムを推測します。

もはや気分は巡回の監視員を切り抜け、脱獄を図る囚人のよう。
検温の時間、酸素などの検査時間、食事の時間、薬の確認チェック時間等々、病室に来るだろうと思われる時間を叩き込み、今だ!このタイミング!という時にブヒッとやるわけです。

 

救いは病院食だからか臭いは、そんなにキツくなく、あわやニアミスという場面もありましたが、これは目に染みるっ!という程ではないので、無事気づかれずに暮らせていたと思います。しかし、天使のように優しいナースの方々ですから「くっせぇ」と思いつつも、大女優ばりの演技力でひきつりながら満面の笑顔を送ってくれたのかもしれません。


齢70を過ぎた母親も最近は運動不足でガスが溜まるわぁと言っていたので、二人とも気を付けるのですが湧き上がるモノにはお互い勝てません。

 

「いや〜久しぶりね。がん治療進んでる?今、お茶いれるわね、どっこうしょ」ブヒッ。

 

「あ、お構いなく。いいよ、座ってて。俺が入れるから、どっこいしょ」ブヒッ。

 

「大丈夫よ」ブヒッ。

 

「じゃあお言葉に甘えて。座らせてもらうよ」ブヒッ。

 

「ところでお隣の ブヒッ …さんが昨日挨拶に来てね。こういうの。あの ブヒッ …がすごいお得で、それが ブヒッ …なんだけど、それはもう美味しくてね。こう … ブヒッ たべたんだけど・・・」

 

もはや、大事なところがピーみたいになって聞こえません。

 

「でも、あれだよね ブヒッ …じゃん」ブヒッ

 

ブヒッ「そ ブヒッ …ね」ブヒッ

 

もう宇宙並みに音声途切れます。目の前にいるのに音声状況最悪です。アンテナ1本ばりに状態が悪いです。おならで会話してんじゃねえのと思うくらい言葉とおならの割合いがおかしいです。
 

このおならも徐々にではありますが改善されて、現在ではほぼ普通通りに戻りました。
よかった、あのままでは黄色いモヤが家に充満し、花粉・コロナに続き、おならでマスク着用を義務付けなければならないところでした。

でも人間だもの。しょうがないよね。ブヒッ。